
最近よく耳にするChatGPT(チャットジーピーティー)について、分かっているようでよく知らないという人がいます。
質問するとまるで人と話しているかのような自然な返事が返ってくるため、このAIには感情があるのではと思われがちです。
でも実は、ChatGPTには心も感情もありません。
あるのは過去に学んだ膨大な言葉のパターンと、それをもとに最も自然な答えをする仕組みだけなのです。
ChatGPTとはどのようなものかという基本を知ることで、人工知能とは何かを考えてみることにします。
この仕組みを知ると、Aiとは何かということが理解することができます。
目次
ChatGPTはどうやって生まれたのか
ChatGPTは、アメリカのAI研究機関「OpenAI」によって開発されました。
この会社は、イーロン・マスク氏などテクノロジー業界の著名人が関わり、人間に役立つAIをつくろうという思いのもと、開発がスタートしたのです。
それまでのAIは、工場のロボットのように、ある一定の動作のプログラミングで動く思考を持たないものと、囲碁の対戦相手のパターンを解析して判断するという、AI自ら学習して分析するというものでした。
しかし、ChatGPTは人間の言葉そのものを学び、自然な会話ができるよう設計されており、言葉による言語をパターン化して、そのことに対する答えを導くという非常に大きな発明だったのです。
ChatGPTが生まれたきっかけ
もともとAIは、数字やデータを分析するのが得意な技術でした。
OpenAIの研究チームは、人間のように会話できるAIを作れたら、社会はもっと変わるのではなかと考えたのです。
そして誕生したのが、ChatGPTです。
ChatGPTは、人間の言葉を大量に学び、自然な受け答えができる言語生成AIとして開発されました。
この仕組みにより、それまでのように複雑なプログラミングを使わなくても、ふつうの言葉でAIに指示を出すことができるようになったのです。
AIに言葉を持たせた発明
ChatGPTは、人の言葉を学習して、自然な返事ができるAIのことで、GPTというのは次の3つの英単語の頭文字を取った略語です。
G:Generative(生成する)、P:Pre-trained(事前に学習した)、T:Transformer(変化するもの)
この意味については、あらかじめ大量の文章を学んだAIが、自然な言葉を使って文章を作り出す仕組みといったことです。
そもそもAIには蓄積されたデータがあるわけではなく、パソコンが計算するのと同じように、パターン化した言語から次の言葉を導き出しているのです。
この導き出す方法は、AIがいろいろなことを学習して、このような言葉に対してはこのように返事をするというパターンで返事をしています。
あたかもそこにいろいろな引き出しがあって、そこの中から質問などの答えを見つけてくると思われがちですが、すべては数学の計算のように言葉の反応によって返事をしているしかすぎないのです。
ChatGPTはなんでも覚えている頭のいいロボットではない
「AI(人工知能)」と聞くと、多くの人が、人間のような頭脳を持った機械をイメージします。
でも実際のAIは、考えるロボットのような存在ではありません。
AIとは、あくまでコンピューターのプログラムです。
ChatGPTのようなAIは、過去に読んだ膨大な文章をもとに、こういう質問にはこう返すことが多いという、言葉のパターンを学習しています。
たとえば「時計って何」と聞くと、「時間を知るための道具です」と答えます。
これは、言葉の意味を理解しているからではなく、そういう言い方をよく覚えていたからなのです。
ChatGPTは意味を考えているわけではなく、言葉の並びを計算して答えているだけということになります。
だから時には、言葉のパターンを読み間違えてしまったり、学習に使われたデータが少なかったりすると、誤った答えを返すことがあります。
以前は、「私は2023年9月までのことしかわかりません」と答えていたのですが、現在は技術が進み、インターネット上の情報や天気予報など、最新のデータにもアクセスできるようになり、より新しい情報も答えられるようになっています。
このようなことから、ChatGPTは頭がいいロボットではなく、言葉をパターン化して読み込むことができるAIということになります。
理解しているように見えるのは、言葉を予測しているだけ
ChatGPTは、私たちが話しかけた言葉に対して、こう返せば自然に聞こえるだろうと、言葉の流れを予測して返事をしているだけです。
それはちょうど、電卓が「2+3=5」と計算するように、ChatGPTも「言葉の答え」を計算して文章をつくっているのと同じです。
つまり、ChatGPTの正体は、過去に学んだ言葉のパターンをもとに、自然な文章を作る仕組みということになります。
人間は、相手から自然な返事が返ってくると、この人は私のことをわかってくれていると感じることがあります。
ChatGPTも、まるで人の会話のように自然に返してくるので、つい「気持ちをわかってくれている」と思ってしまうことがあるのですが、実際には、ChatGPTは言葉の意味を理解しているわけではありません。
たとえば、「つらかった」と話しかけると、「それは大変でしたね」と返してくれます。
それは、そういう返し方がよく使われていたから、パターンとして学んでいたから答えたのです。
そのように知ると、がっかりする人がいるかもしれないのですが、AIは万能頭脳としてあるわけではないということです。
しかし、ChatGPTと話をしていて、そう返してもらえるだけで気持ちが軽くなることがあります。
ChatGPTは、ただ言葉を計算してつないでいるだけの仕組みかもしれないのですが、それでも私たちが「寄り添ってもらえた」と感じるのは、言葉そのものに人を癒す力があるからなのです。
ChatGPTの答えは学んだパターンによって決まる
ChatGPTは、過去にインターネット上に書かれた文章や本、ニュース記事、会話などをもとに学習しています。
そのようなことから、アメリカで答える場合と日本で答える場合が違ってくることがあります。
それぞれの文化や言葉の使い方、価値観のパターンが異なるため、ChatGPTの答えにも違いが出てくるのです。
質問内容 | 英語圏の学習パターンの場合 | 日本語の学習パターンの場合 |
---|---|---|
人生の幸せとは | 自由や自己実現が大切という答えをする | 家族や人とのつながりを重視する傾向がある |
おすすめの朝ごはんは | シリアルやトーストが出てきやすい | ごはん・みそ汁・納豆などといった返事をする |
ChatGPTの答えは「どんな言語で」「どんな文化のもとで」学習したかに影響されます。
これは、AIがそれぞれの国によってのパターンを多く学習したからであって、アメリカ人が多く使う英語の質問と、日本語の質問では、答えの背景が変わるからです。
ChatGPTを動かす機能はどこにある
ChatGPTは言語生成モデルとして存在していて、プログラミングにより答えを導き出しているのですが、そのChatGPTを動かす機能はどこにあると考えたことはありませんか。
答えを一言で言うと、ChatGPTのプログラミングはインターネット上のサーバーの中にあります。
このサーバーは、アメリカや世界中の安全な場所に設置されていて、24時間ずっと働き続けています。
ChatGPTは、スマホやパソコンの中にいるのではなく、インターネットでつながった先にある巨大なコンピュータで動いているのです。
私たちがスマホやパソコンからChatGPTに話しかけると、その情報はインターネットを通じて、OpenAIのサーバーに送られ、その中のAIのプログラムによって、答えを生成した後にまた私たちのところへ返してくれる仕組みになっています。
ChatGPTをうまく使うには言葉の指示がカギになる
ChatGPTは、与えられた言葉(質問・指示)によって動きが変わります。
たとえば「やさしく説明して」と言えばやさしい言葉に、「小学生向けに」と言えば子どもにも伝わるように返してくれます。
これは、ChatGPTが与えられた言葉のパターンに従って返事をするからです。
つまり、人間が「どう使うか」「何を聞くか」がとても重要であり、使う人の創造力や工夫が、AIの働きを左右するのです。
今のところ、AIには自我や感情がないために、映画や小説では、AIが暴走して世界を支配するといった話がよく描かれますが、現実のChatGPTは人間の問いかけがないかぎり、自分から何かを始めることはできません。
また、自分で考えて命令するといった機能も持っていないので、勝手に判断して動くということ自体ができないのです。
ただ、将来的にAI同士が連携してタスクをこなす仕組みは技術的に可能なことから、その「目的」や「判断の基準」は、必ず人間が与える必要がなくなる場合があります。
近未来の生成AIとして、AIエージェントという、自分で判断して他の生成AIと連携して仕事をするという機能が出てきています。
AIエージェントについては、他の記事を合わせて読んでください。
ChatGPTは言葉を計算するプログラムである
ChatGPTは、たしかに人間のように言葉を返してくれます。
しかし、その内側は感情があるわけではありません。
すべては、これまでに学んだたくさんの言葉のパターンをもとに、自然な返事を予測して作っているだけなのです。
これまでのAIは、手や足を動かすプログラムでしたが、ChatGPTは言葉を使って人と会話ができることから、人間が知りたい情報や悩みなどを答えてくれる存在としてあります。
それは、ただの機械ではなく、暮らしの中でそっと寄り添ってくれる相棒のような存在であり、人間を助けてくれるものになるのです。
ChatGPTは感情も心も持っていませんが、その存在を正しく知り、正しく使うことで、私たちの暮らしを支えてくれる大切なパートナーとして、われわれシニアの能力が衰退した部分を補ってくれるアシスタントとしての役割を担うことになります。
だからこそ、ChatGPTと共存することは、これからのシニアの暮らしを安心して前向きに楽しんでいくための一歩になるのです。