私たち人間は、暮らしを便利にするために、さまざまな道具を生み出してきました。
物を運ぶための自動車、夜を照らす灯り、家事の負担を減らす家電。
さらに、情報を手に入れるためのパソコンやスマートフォンも、今では生活に欠かせない存在です。
そして今、「考える機械」ともいえるAIが登場し、ますます私たちの暮らしを便利にするアイテムとして登場してきました。
なかでもChatGPTは、会話ができるAIとして、多くの人に親しまれています。
しかし、このChatGPTは問いかけられてから動くという受け身のAIであることから、次にやってくるのは、自分で考えて動くAIエージェントという新しい形のAIということになります。
今回は、ChatGPTからAIエージェントへの進化が、特にシニア世代の暮らしをどう変えるのかを、一緒に考えてみることにします。
目次
便利さは、いつも人間の味方だった
かつて、井戸水をくみ、かまどで火を起こしてごはんを炊いていた時代がありました。
文明が発展していくことで、蛇口をひねれば水が出て、ボタンひとつで炊飯器がごはんを炊いてくれます。
便利になることで、時間や手間が減り、家族との会話が増えたり、自分の趣味に時間を使えたりするようになりました。
道具や機械の進化は、ただ楽をするためだけでなく、心にゆとりを生むためのものになったのです。
ChatGPTの出現
そのような中で登場したのがChatGPTです。
文章の作成や質問への回答、アイデアの提案など、さまざまな場面で手助けをしてくれる賢いAIです。
たとえば、旅行のプランを立ててと頼めば、モデルコースを提案してくれたり、今夜の献立を考えてと聞けば、バランスのとれたレシピを出してくれる賢いAIの存在です。
ただ、このようなとても便利なChatGPTですが、ひとつだけ大きな気になる特徴があります。
それは、自分からは動かないということです。
ChatGPTは、指示を出せば的確に応えてくれるのですが、こちらから話しかけたり指示をしない限り、何もしてくれません。
まさに、受け身のAIなのです。
新たに登場したAIエージェント
ここで次に登場するのが、「AIエージェント」という新しい形のAIです。
AIエージェントは、あなたが何も言わなくても、今必要なことを先回りして教えてくれます。
たとえば、ChatGPTは「今日の予定は」と聞かれて初めて答えますが、AIエージェントなら何も言わなくても「午後から病院です」と教えてくれます。
つまり、待っているAIから、自ら気づき提案してくれるAIへと進化して行ったのです。
AIが自ら考えて、判断し、行動する時代がAIエージェントによって始まろうとしています。
AIエージェントの特徴と機能
AIエージェントの最大の特徴は、自発的に動く力を持っていることです。
以下のような機能が組み合わさっています。
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| 役割を理解する | 状況を理解して、時間・天気・スケジュール・体調などを把握して教える |
| 判断力 | 複数の情報をもとに、今、必要なことを考える |
| 行動力 | 提案したり、自動でアプリを操作するなどの実行に移す |
これらのことにより、AIエージェントは人間の暮らしを広い視野でとらえ、そっと支えてくれる存在になってきました。
実際に始まっているAIエージェントの活用
すでに、一部のテクノロジー企業ではAIエージェントにおいて開発され始めています。
Microsoftの「Copilot＋PC」では、パソコン全体をAIがサポートとして、適切な環境のもとに使うことができます。
スマートホームでは、その時の気温や状況を判断して、室内の照明、エアコン、カーテンなどをAIエージェントが自動で操作します。
高齢者支援では、会話や体調管理、服薬サポートまで対応可能になります。
また、アメリカではオペレーター型AIと呼ばれる、チケットの予約や買い物、メールのやり取りまで代行するAIが登場しており、自律して動く執事のようなAIとして働き始めています。
つまり、AIエージェントの時代は、もう「未来の話」ではなく、暮らしを支えてくれる暮らしのパートナーとして、存在するようになっているのです。
AIエージェントについての詳しい暮らしいついては以下の記事をご覧ください。１回から3回に分けて書かれています。
便利の先にあるやさしさ
AIエージェントは、自律したAIとして、あなたの暮らしや状況を理解し、必要なときにそっと寄り添ってくれるような、やさしさを持った存在になっています。
たとえば、体調が優れないときに気づいて声をかけてくれたり、孤独を感じるとき、話し相手になって慰めてくれたり、相手を思いやることで自ら動いてくれるのです。
しかし、AIが何でもやってくれて、いくら便利になっても、人間が考える力を失ってはいけないという考えも大切です。
AIは、あくまでも私たちの代わりではなく、補ってくれる相棒であってほしいのです。
AIと共に生きる選択
人が道具を使ってきたのは、ただ楽をするためではなく、よりよく生きたいと願ってきたからです。
これからの時代、AIの進化はさらに加速し、私たちの暮らしに深く関わるようになっていきます。
だからこそ大切なのは、AIとどう付き合うかを、自分自身の意志で選ぶことです。
とくに、これからの人生を自分のペースで、穏やかに過ごしたいと願うシニアにとって、AIエージェントは便利を超えた、やさしく寄り添うパートナーといった存在になります。
自分らしさを大切にしながら、無理なく前向きに生きていくためには、このAIの力を早いうちから取り入れることで、これからの人生はより豊かで心地よいものになっていくはずです。
AIは、あなたの暮らしに寄り添いながら、そっと支えてくれる存在として強い味方になってくれることでしょう。
