
ある日モフ子は、森の中でしょんぼりしているモグラを見つけました。
「どうしたの?」

「僕はいつも土の中にいるから、誰にも見えないし、僕の存在なんて誰も気が付いていないんだ」
モフ子は首を振りました。
「そんなことないよ」

「それに僕は、森ではなんの役に立っていないんだ」
モグラは、目に涙をためて言います。
「だから、僕はいつもひとりぽっちで寂しんだ」

すると次の日、モグラの穴のそばに、森の動物たちが集まってきました。
そして、動物の仲間たちはいっせいに、笑顔でモグラに声をかけます。
「モグラさん、おはよう」
みんなが笑顔で口々に言うので、モグラは、驚いたようにキョトンとした顔で動物のみんなを見回しました。

みんなが口々に挨拶をしてくれます。
「みんな、ありがとう」
驚いたモグラでしたが、なんだか嬉しくなって笑顔で答えました。
「モグラさんとは外で一緒に遊べないけど、モグラさんも森の一緒の仲間よ」
モフ子の言葉に、モグラは嬉しかったのですが、すぐに顔が曇ってきたのです。
「だけど、僕は森のためになんの役にも立っていないから」

すると、モフ子は答えました。
「そんなことないわ。モグラさんは、いつも森の土を耕してくれているおかげで、こんなにきれいなお花が森の中にいっぱい咲いているわ」
モフ子の言葉に、他の動物たちも「そうだそうだ」と、さんどうしました。

あとがき
森の動物たちはモグラのことを厄介者だと思っていました。
畑を荒らし、土手に穴を開けると言われていたからです。
でもモフ子は気がついていました。
モグラが土を耕すから、花が咲く。
モグラが土の中を動き回るから、大地が呼吸できる。
誰も気づかないところで、誰かが森を支えているということを、モフ子は気が付いていたのです。