「しょうがないしょうがない」

森の運動会の日がやってきました。

モフ子のチームは、リレーで優勝することを夢見て、毎日練習を重ねてきました。

第一走者はキツネくん、第二走者はクマさん、第三走者はモフ子、そしてアンカーはリス君です。


キツネくんは、転ばないように、クマさんは少しでも速く走れるように、毎日のように森の中で練習していました。

そして、リス君とモフ子はバトンをしっかり渡せるようにと、何度も何度も練習しました。


運動会の当日いよいよリレーが始まります。

動物たちがスタートラインに並びます。

キツネくんも、練習の成果を出すために気合が入っています。


一走目のキツネくんは、力強く走りました。

そして、二走目のクマさんにバトンを渡します。

そして、クマさんも必死に走ります。


モフ子も、日頃の練習の成果を出すために必死で走ります。

そして、みんなの期待を背負って、次の走者のリス君へバトンを渡します。


ここまで、モフ子たちのチームは、みんなの努力もあって一位で走り抜けていました。

バトンを受け取ったリス君も、懸命に走ります。


そして、 ゴールまであとわずかのところで、リス君は足がもつれて、ドサッと転んでしまったのです。

森中が静まり返りました。

転んだリス君の横を、猿やネズミやタヌキが追い抜いていきます。


それを見ていたモフ子たちは、驚きと同時に大きな声を出してしまいました。


リスはゆっくりと立ち上がると、最後まで走りきりました。

でも結果は、最下位でした。

リスはみんなのところへ戻ってくると、「ごめんなさい…」と、うなだれて、そこまで言うのが精一杯でした。

リスの目に涙がにじんでいます。


モフ子たちは、リス君のそばに駆け寄ると、モフ子はリスの肩にそっと手を置いて言いました。

「しょうがない、しょうがない。みんな頑張ったのだから」


リス君は顔を上げモフ子たちを見ました。

モフ子は続けて言いました。
「やることはやったんだもの。転んでも最後まで走ったんだから」

クマさんも言いました。
「そうだよ、みんな全力でやったんだ」

キツネくんも笑顔で言います。
「また来年、一緒に練習して頑張ろう」


リス君の目から涙がぽろりとこぼれ落ちました。

でも今度は、悲しい涙ではありません。

「頑張ったのだから、結果はまた今度頑張ればいい」というみんなの言葉がうれしかったのです。


みんなは、いっせいに大声で言います。

「しょうがない、しょうがない」


あとがき

「しょうがない」は諦めの言葉ではありません。

やるべきことを全力でやり遂げた時に初めて言える言葉です。

手を抜いた時の「しょうがない」は言い訳になりますが、でも全力を尽くした後の「しょうがない」は、自分の心をそっとリセットしてくれる魔法の言葉です。

結果がすべてではありません。

全力で走ったその姿の中に、本当の意味があるのです。

だから、クヨクヨせずに、合言葉は「しょがない、しょうがない」と大きな声で叫びましょう。