雨の日は、つい「うっとうしいな」と感じてしまいます。
けれど、その雨は森を潤し、川を流れ、やがて海を育てています。
自然はすべてつながり、私たちの暮らしを支えているのです。
今回は、モフ子とフクロウのおばあさんの会話を通して、
「森と雨と海のやさしいつながり」を描きました。
読み終えると、きっと雨の日が少し違って見えるでしょう。

朝の光がモフ子の部屋にやさしく差し込みます。
窓から見える森は、金色にきらめいていました。
「わぁ、なんてきれいな朝でしょう」
花は色とりどりに咲き、鳥たちは歌い、森全体が輝いています。

次の日、窓の外はどんより暗く、雨が降っていました。
「雨の日はいやだな、学校に行くとき濡れちゃうし」
モフ子は大きくため息をつきました。
モフ子の心は沈みがちになります。

雨が上がって、学校に行くために森を歩いていると、モフ子は考えました。
「どうして晴れの日と雨の日では、気持ちがこんなに違うんだろう」

そのとき、一羽の年老いたふくろうのおばあさんが声をかけてきました。
「もふ子、同じ世界でも、見え方は心で変わるんだよ。雨の日はいやだと思うのは、自分の都合で世の中を見ているからさ」

フクロウのおばあさんは、羽をひろげて花々を示しました。
雨が降ると、森の木々の濡れた葉はつややかに光り、花は水を得ることでいっそう美しく咲いていました。
「ほら、森は雨のおかげで生き生きしているよ。花は水をもらって、もっときれいに咲いているだろう」

「ほんとうだ…森が生き生きしてる」
モフ子の目が輝きました。
「うん、雨は森を元気にしてくれるんだね」
濡れた木々の葉はつややかに光り、土の香りがひろがっています。

フクロウのおばあさんは、やさしくつづけます。
「森に降った雨は、やがて川を流れ、海へ届く。森の土や葉は川に運ばれ、海の栄養となり、魚や貝を育てるんだ」

モフ子は驚きで目をまんまるにしました。
「森が海を育てているなんて、すごい!」
森は海や川、空や動物などすべてとつながっているということに驚くモフ子でした。

そのとき、また小雨が降ってきました。
モフ子は木々の香りを胸いっぱいに吸い込みます。
「雨さん、森を元気にしてくれてありがとう」
心でつぶやくと、胸がふんわりあたたかくなりました。

森も川も海も、人も動物も、みんな自然のつながりの中で生きているのです。
そのように考えると、雨の日はゆうつと思っていた自分が恥ずかしくなりました。
あとがき
私たちの暮らしは、森や川や海と深いつながりの中にあります。
雨をわずらわしいと思う日もあるけれど、
それは森を育て、命をめぐらせる大切な恵みなのです。
雨の日も「ありがとう」とつぶやくと、
心もやさしく潤っていくのではないでしょうか。