
朝の光がもふこの部屋にやさしく差し込みます。
窓から見える森は、金色にきらめいていました。
「わぁ、なんてきれいな朝でしょう」
花は色とりどりに咲き、鳥たちは歌い、森全体が輝いています。

次の日、窓の外はどんより暗く、雨が降っていました。
「雨の日はいやだな、学校に行くとき濡れちゃうし」
もふこの心は沈みがちになります。

雨が上がって、学校に行くために森を歩いていると、もふこは考えました。
「どうして晴れの日と雨の日では、気持ちがこんなに違うんだろう」

そのとき、一羽の年老いたふくろうのおばあさんが声をかけてきました。
「もふこ、同じ世界でも、見え方は心で変わるんだよ」
「雨の日はいやだと思うのは、自分の都合で世の中を見ているだけだからさ」

ふくろうのおばあさんは森を見渡します。
「ほら、森は雨のおかげで生き生きしている。花は水をもらって、もっときれいに咲いているだろ」

「うん、雨って森を元気にしてくれるんだね」
もふこがうなずくと、おばあさんは続けました。
「でもね、人間が森を切りすぎたり、山を壊したりすると、雨は森を元気にするどころか、大きな洪水を起こすこともある」
それに、森を追われた動物たちが、人里に降りてきて人間を困らせることもあるんだ。

「それって、人間のせい」
「そうさ。森や川を人間たちの都合だけで変えてしまうから、自然の力が暴れてしまうんだよ」

「森や川を守るために、人間はどうすればいいの」
おばあさんは羽をやさしくふるわせて言いました。
「まず、むやみに木を切らないこと。木は洪水を防ぐ自然のダムでもあるからね」

「それから、森にゴミを捨てないこと」
人間が捨てた食べ物のにおいを覚えた動物は、その味を求めて人里に降りてくるようになるんだ。
そうすると、人間も動物も困ることになる。

そして、森からいただくものに『ありがとう』と言う気持ちを忘れないこと。
食べ物や木の実、木の材も、みんな森からの贈り物なんだ。
「それに、森はね、海の生き物も育てているんだ」
森の葉や土が川を流れて海に届くと、鉄分やミネラルが海に広がり、それを食べて海の植物プランクトンが育ち、それが魚や貝のごちそうになるんだ。

森は海や川、空や動物などすべてとつながっているんだ。
だから、人間は自分たちの勝手な都合で森を壊してはいけないんだ。
「人間が森を大事にすれば、森は人間を守ってくれるんだね」
もふこの言葉に、フクロウのおばあさんはにっこりと笑いました。

森が元気なとき、雨はやさしくゆっくり降って、木や花や動物たちに『ありがとう』って伝えてくれるんだ。
「でも、森が傷ついてしまうと、雨は一気に流れて洪水や土砂くずれを起こしてしまう」
それは『助けて』っていう森からの声かもしれないね。

雨が降ってきて、もふこは森の木々のやさしい匂いを感じました。
森も川も海も、動物も人間も、みんな自然の中でつながっています。
だから、自分の都合だけで自然を見たり壊したりしてはいけません。
雨が降ったら、「森や海を元気にしてくれてありがとう」と心の中でつぶやいてみましょう。
みんなが仲良く助け合いながら、ずっと笑顔で暮らせる世界になりますようにと、もふこは思いました。