
ある夜、モフ子が目を覚ますと、足元には見たこともない毛糸の世界が広がっていました。
どこまでも続く毛糸の海は、すべてがふかふかのピンク色の毛糸でできています。

モフ子がベッドから降りると、足元がゆっくりと沈んでいきます。
「わぁ、床が沈んでいってしまう」

「誰か、助けて!」
モフ子は、一生懸命、溺れないように足を動かします。

そのとき、モフ子の手に何かが触れました。
それは、古い小さなボートでした。

モフ子はボートにしがみついて乗り込むと、懸命にオールを漕ぎ始めました。
腕が痛くなっても、漕ぎ続けました。
どこへ向かっているのかわからなくても、漕ぎ続けました。

どのくらい時間が経ったでしょう。
ふと気がつくと、遠くにはっきりと明かりが見えます。
「あそこだ…」
モフ子は最後の力を振り絞って、オールを必死で漕ぎます。

やがてボートは、小さな島の岸にそっと着きました。
島の上には、一本の木が生えていて、その木の根元に、モフ子がずっと探していた宝箱が静かに置かれていました。

宝箱を開けたモフ子は、中に巻物が入っているのを見つけます。
その巻物には、大きく笑顔という文字が書かれていました。
「ここにあったんだ」
モフ子は、その笑顔と書かれた巻物をそっと胸に抱きました。

気が付くと、モフ子はいつもの自分のベットの上にいました。
夢を見ていたのです。
あとがき
自分が探していたものは、遠くにあるのではないのかもしれません。
もがいて、溺れて、それでも漕ぎ続けた先に、やっと見えてくるものがあります。
それはいつも、自分の中にあったものです。
それは、自分の中にある優しさと思いやり、そしてみんなを和ませることができる笑顔だったのです。