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「モフ子の相手を思いやる幸せ」

モフ子は、庭の花壇でかわいい花を育てていました。

「元気に育つのよ」

モフ子は、小さな花たちに声をかける、やさしい心を持ったウサギです。


森の動物たちは、みんな仲良くくらしていました。

おたがいに思いやりを持って、助け合っていたのです。

リスは木の実を分け、シカは道をゆずり、小鳥は歌うことでみんなを幸せにしていたのです。


ところが、この森に一匹のキツネがいました。

元気で活発ですが、自分のことばかりしか考えなく、仲間の気持ちなど考えません。

今日も、棒切れを持って、森の道をわがもの顔で歩いています。


モフ子が育てていた、小さな花壇に咲いている花を見つけ、キツネは棒で叩きました。

「なんだこんなもん」

キツネは面白がって、花が散るのを楽しんでいました。


モフ子は花壇で大切に育てていた花が、踏みつぶされていたのを見てとても悲しくなりました。

「せっかくきれいに咲いたのに……」

モフ子は、小さな花たちが、かわいそうでたまらなかったのです。


ある日、森の水飲み場で、他の動物たちが順番を守って待っているのに、キツネは後から来て、みんなを押しのけるようにして水を飲みはじめました。

動物たちは困った顔をしているのに、キツネは知らん顔をして、わがもの顔で自分勝手な行動をします。


パンを食べていても、あたりにゴミを散らかしてもお構いなしです。

自分さえ良ければいいという身勝手な行動で、他の人が迷惑しているということなどわからないのです。


キツネの身勝手な行動に、森の動物たちは怒っています。

「まったく許せないわ。キツネに注意するか、森から追い出すかしましよう」

動物たちが騒ぐのを、モフ子は、黙って成り行きを見守っていました。


モフ子は、キツネを見つけると静かに言いました。

「ねえキツネさん。森のみんなが、あなたのことで困っているのに気づいてる?」

キツネはきょとんとしていました。

「ぼくはただ好きにしてるだけさ。迷惑なんてかけてないよ」

モフ子はやさしく言いました。

「じゃあ、あなたが散らかしたゴミは、だれが片づけるの?」

そして静かに続けました。

「自分だけが楽しいとき、ほかの誰かが困っているかもしれないよ」

キツネは首をかしげ、考え込んでしまいました。


キツネは、森の動物たちが自分のことを相手にしてくれないことに気がつきました。

ただそれが、自分の行動が、みんなに迷惑をかけているからということなど分からなかったのです。


キツネは、モフ子に言います。

「みんな、ぼくと遊んでくれないんだ…」

キツネはしょんぼりつぶやきます。

モフ子はやさしくほほえみながら、

「仲良くするって、ただ一緒にいることじゃないのよ。おたがいに思いやって、親切にしあうことなの。そうすれば、自然と仲良くなれるのよ」

自分の身勝手な行動が、みんなが自分を遠ざけていると知ったのです。


ある日、キツネは、森の中でお腹をすかしている子猿に出会いました。

キツネは、自分が持っていたパンを、子猿に分けてあげることをしました。

子猿は、キツネに何度もお礼を言ってパンを受け取りました。


キツネは思いました。

他の動物に親切にしたり優しくするということは、どんなに気持ちがいいということを気がついたのです。

そして、モフ子が大切に育てていた花壇を壊してしまったことを謝りました。

自分さえ良ければいいという考えは、他の動物たちに迷惑をかけるし、結局は自分が苦しむ結果になるということを知ったのです。


思いやりは、まわりを笑顔にするだけでなく、自分の心まで明るくしてくれます。

自分勝手にふるまうのではなく、おたがいを思いやる心があるからこそ、みんなは仲良く生きていけるのです。

その気持ちである清々しさは、森じゅうに広がり、みんなの胸いっぱいに満ちあふれて、幸せが広がっていきます。

モフ子は、思いやりの心が森を明るくするということに気がついたのです。