
むかしむかし、とおい国に、おおきなお寺がありました。
お寺では、夜になると千の灯りをともして、仏さまをてらすおまつりがひらかれます。
村じゅうの人たちは、この日を楽しみにしていました。
お金持ちも、ふつうの人も、みんな灯りをそなえます。

村のはずれに、とても貧しい女の人がいました。
ごはんもやっと食べられるくらいの生活です。
女の人は、「わたしも、仏さまに灯りをそなえたい…」

でも、家の中にあるお金を集めても、これでは、油はほんの少ししか買うことができません。
それでも、女性は少しの油を買って、仏様に供えることにしました。

おまつりの夜、村人たちは大きな灯りをたくさん持ってお寺に集まります。
女性の灯りも、小さくてかすかな光をはなち、あたたかく燃えています。

その夜、強い風が吹きました。
大きな灯りが次々と消えていきます。
でも、不思議なことに、貧しい女の人の小さな灯りだけは消えません。
人々は驚き、その灯りの前に集まりました。

仏様は言いました。
この灯りは、貧しいけれど心をこめた灯だから、風も消せないのだ。
「心のこもった灯は、千の灯りにもまさる」
小さな光が、心を照らす大きな力を持つことを、人々は知ったのです。

灯りはお金や力がなくても、心をこめたやさしさは世の中を明るくします。
小さな光が、大きな力を持つことを人々は知ったのです。
この小さな灯りは「貧者の一灯」として語り継がれることになりました。

大切なのは、大きさではなく、心のあたたかさです。
貧者の一灯は、そのことを教えてくれます。
あなたの心がこもった灯りは、誰かの夜を照らし、人々を幸せにします。

今日もどこかで、誰かの心に小さな光がともっています。
小さなあかりでも、暗闇を照らす大きな光となるのです。
あなたのやさしさや思いやりが、きっと誰かの道しるべになるでしょう。
あなたができることを精一杯行うことが、世の中を明るく照らす灯となるのです。