大人が読む新しい表現手段としての「絵本」を作る

「絵本」と聞くと、小さな子どものためのもの、と想像する方が多いかもしれません。 実は私も、以前はそう思っていました。

けれど、絵本を作るようになって、その考えは大きく変わりました。 絵本は決して子どもだけのものではなく、大人の心にも深く通じ合う「新しい表現手段」だったのです。

言葉と絵が織りなす表現の力

小説は、言葉の力で読者の心に情景を描き出します。 絵画は、一枚の絵の中に言葉にできない思いを込め、観る人の心に直接訴えかけます。

では、絵本はどうでしょうか。 言葉だけでは届かない領域を「絵」が見せてくれ、絵だけでは伝えきれない細やかな思いを「文」がそっと深めてくれます。

その二つが美しく重なり合ったとき、絵本はただの児童書という枠を超え、大人にも深い感動を与える新たな表現手段として成り立つのです。

絵は決して「飾り」ではない

文章の横に、きれいな挿絵を置くだけでは絵本にはなりません。 私が絵本を作るとき、最も大切にしていることがあります。 それは、「なぜ、この場面にこの絵が必要なのか」ということです。

たとえば、深い悲しみをあえて言葉で説明せず、静かな表情の絵で見せる。 寂しさを長々と語る代わりに、ぽつんと一人で座る姿を描く。 そうした「余白」があるからこそ、読者は自分の心と重ね合わせながら、寂しさを感じ、物語の奥にある思いをすくい取ることができるのです。

絵本において、絵は単なる挿絵や飾りではありません。それ自体が静かに物語を語る、もう一人の語り部なのです。

AIが開いてくれた、新しい表現の扉

実を言うと、私は絵を描くことができません。 頭の中に美しい場面が浮かんでいても、それを自分の手で形にすることができないため、ずっと「自分には絵本作りなんて無理だ」と思っていました。

ところが、AIの出現がその壁を壊してくれました。 AIという新しい技術の力を借りることで、絵が描けなくても、自分の内なる思いを「絵本」という媒体で表現できる時代になったのです。

もちろん、ただAIに丸投げするだけでは、心に響く絵本にはなりません。 「自分の中にどんな思いがあるのか」「何を伝え、誰に届けたいのか」。 その熱量と芯があって初めて、自分の思いを形にした絵本が生まれるのだと信じています。

75歳の「自称」絵本作家として

私はこれまで、出版社から絵本を出したことはありませんし、華々しい賞をいただいたことも、メディアで紹介されたこともありません。 ですから、正確に言えば「絵本作家」と名乗ってよいのか、少し迷うところもありました。

けれど、「絵本を作りたい」「自分の思いを誰かにそっと届けたい」という純粋な願いを持ち、日々筆をとっていることから、私は自分のことを「75歳からの絵本作家」と名乗ることにしました。

(この思いについては、noteの別記事『No.9【75歳の自称絵本作家】私が「絵本作家」を名乗る理由について』でも詳しく書いています)

誰でも作れる時代だからこそ、問われるもの

最近、AIを使った絵本作りを「簡単に稼げる副業ビジネス」として紹介する記事をよく見かけます。 確かにAIを使えば、短い時間で「それらしい」絵本を効率よく作ることはできるでしょう。

しかし、どんなに便利な道具を使っても、そこに「作者の思いや願い」が込められていなければ、読者の心は動きません。 なぜこの絵本を作るのか。誰に読んでほしいのか。 AIという最先端の技術を使うからこそ、利益や効率ではなく、純粋な「自分の思い」を大切にした作品を作っていきたいのです。

ブログは、世界へ絵本を届ける自由な舞台

作品が完成したとき、次に考えるのは「これをどこで、誰に読んでもらうか」ということです。 私がその舞台として選んだのは、ブログ(note)でした。

ブログには、紙の本にはない「自由」があります。 ページ数に縛られることもなく、物語の長さもテーマも、すべて自分で決めることができます。胸に浮かんだ伝えたい気持ちを、そのままの熱量で形にして、すぐに発表できる。私にとって、この自由さは何よりの魅力でした。

たとえ最初は読んでくれる人が少なくてもいいのです。 世界のどこかで、たった一人でも私の絵本を開き、心を通わせてくれる人がいるのなら。それだけで、作品を世に出す十分な意義があります。

これからの時代、絵本を作ることも、届けることも、もっと自由で開かれたものになっていくはずです。 子どものものだと思い込んでいた絵本を、大人の表現手段として、ブログという場所からそっと世界へ差し出す。

それが、75歳から歩み始めた絵本作家としての、小さくて、とても大切な第一歩だと思っています。

モフ子

1951年3月 東京生まれ

定年退職をきっかけに、絵本を作り始めました。

75歳からの絵本作家を目指す人間として、絵本の歴史と起源について調べようと思いました。

ブログやnoteで作品などを発表していますが、江戸時代になぜ多くの絵本が庶民に受け入れられたのかを調べることで、絵本制作に活かせることが見つかるのではないかと思ったからです。