私たちが普段使っているスマートフォンやパソコンに、時として平穏な日常を脅かす「罠」が潜んでいることがあります。
今日お話しするのは、最近シニア世代を狙って急増している「当選詐欺」についてです。
ある日、あなたのスマホにこんなメールが届いたらどうしますか。

「おめでとうございます!ハワイ旅行ペアご招待の権利を獲得しました」
誰もが知る有名企業のロゴが入っていたり、「あなただけが特別に選ばれました」などと書かれていたりすると、つい「何かのキャンペーンに応募したっけな?」と心が躍ってしまうかもしれません。
しかし、気をつけてもらいたいのは、 ここからが、甘い言葉に隠された「巧妙な罠」の始まりなのです。
「数千円の手数料」という悪魔のささやき
「こんな怪しい話、誰が騙されるの?」と思われる方も多いことでしょう。
人生経験をしっかりと積んできた私たちなら、すぐに嘘だと見抜けそうなものです。
しかし、詐欺師たちは人間の心理を突いてくるプロです。
彼らはいきなり大金を要求したりはしません。
「賞品は無料ですが、手続きの事務手数料として3,000円だけお支払いください」
と、近くのコンビニで3,000円分の電子マネーを買って番号を教えるように言ってきます。
ハワイ旅行に行けるならと、ごくわずかな金額の要求をつい受け入れてしまうところから、巧妙かつ卑劣な罠が始まります。

さらに恐ろしいのは、手続きと称してアンケートなどに答えさせることです。
そこから、個人情報や資産状況を巧みに聞き出し、こちらがどこまで騙せるターゲットになり得るかをじっくりと観察してくるのです。
一度払うと抜け出せない泥沼
詐欺師たちは、最初の事務手数料を支払ってきた相手を「この人は騙せる」と確信します。
すると今度は、「今日中に手続きしないと権利が消滅する」などと焦らせた上で、旅行の身分証明として保証金が必要ですと、数十万円の高額な支払いを要求してくるのです。
さらに、不信感を持たれないように、保証金は後から必ず返金されますと、こちらを安心させるようなことを付け加えることは忘れません。
そして、「システムエラーで送金が止まりました。解除のためにもう一度振り込んでみてください」と、次々にトラブルを装い、相手をパニックに陥らせます。
何度も理由をつけられ、要求される金額はどんどん膨れ上がっていきますが、ここで「やっぱりおかしい」と気づいても、多くの人は引き返すことができなくなっています。
そこには、ここでやめたらこれまでに払ったお金が水の泡になってしまうという心理がはたらくからです。
そして、要求されるままに「あと少し払えば、旅行に行けるし保証金も戻ってくる」と、そう自分に言い聞かせながら、引くに引けなくなってしまうというのが、この詐欺の恐ろしいところです。
詐欺師たちは、そのような私たちの心理的な弱点を、どこまでも冷酷に利用して騙してくるのです。
騙されているのではと思ったら勇気を持ってやめる
万が一、途中で「おかしい」と気づいたら、その時点で勇気を持って辞めることです。
最後までお金を払い続けても、ハワイ旅行には絶対に行くことはできません。

詐欺の被害に遭われる多くの人は、周囲が「それは詐欺だからやめて!」といくら忠告しても、全く聞き耳を持たずにお金を振り込み続けてしまうと言われています。
なぜ、そこまで周りの声が届かなくなってしまうのでしょうか。
それは、「ここまでやったのだから絶対に本当のはずだ」という意地や、「もっと特別な思いができるはずだ」という思いで、詐欺師の言うことを信じて、心が完全に支配されてしまっているからです。
だからこそ、詐欺から身を守るための根本的な考え方として、「今の平穏な暮らし以上のものを求めすぎない」という考え方がとても大切になってきます。
今の静かで落ち着いた生活が何より大切であり、自分にとって本当に必要なものは、すでに手の中にあるということに気がつけば、わざわざ怪しい話に乗って、日常に波風を立てる必要はないからです。
足るを知るという心にゆとりを持つことが、あり得ないような上手い話に乗らないという鉄壁な防御になります。
今回の教訓
自分が応募していない懸賞には、絶対に当たりません。
賞品を渡す前に、先にお金を払ってなどと要求してくることは100%詐欺です。
騙されないための最強の防御策は「足るを知る」ことです。
もし、今回のようなメールがスマホに届いたら、絶対に返信せず、リンクもクリックせず、そのままそっと削除しましょう。
もし、「もうお金を払ってしまった」「判断に迷う」という時は、絶対に一人で抱え込まないでください。
ご家族やご友人に話すか、局番なしの『188(消費者ホットライン)』に電話をして相談してみてください。
騙されることは決して恥ずかしいことではありません。
これらのことを早めに気がつくことで、安心した老後を生き抜いていきましょう。