
「AIを使えば、誰でも簡単に絵本が作れる」
最近、そんな言葉を耳にする機会がぐっと増えました。
たしかに、指示を出すだけで魅力的な文章を書き上げ、美しいイラストを生成し、構成まで練ってくれるAIは、まるで魔法のツールのように思えるかもしれません。
しかし、ここにはとても大きな誤解が潜んでいます。
それは、「AIは自らの意思で絵本を創作することはできない」という事実です。
AIが持っているのは「心」ではなく「データ」
AIには、私たち人間のような感受性や心があるわけではありません。
たとえばAIが「悲しい」「嬉しい」といった情緒的な文章を書いたとしても、それは過去に学習した膨大なデータの中から、「こういう状況では、悲しいと表現するのが適切である」というパターンを導き出しているに過ぎません。
こちらが「今日はすごく疲れたよ」と打ち込んだ時、「お疲れ様です。冷たいビールでも飲んでゆっくり休んでください」と、いかにも人間らしい労いの言葉を返してくることがあります。
しかしこれも、感情に寄り添っているのではなく、「疲れた」という言葉に対して最も適した慰めのパターンを選んで反応しているだけなのです。
AIは人間の言葉をそのまま映し出す「鏡」
AIは、私たちが投げかけた言葉を反射して見せる「鏡」のようなものです。
たとえば、鏡の前に立つとき、しかめっ面をすればそのまま険しい顔が、笑顔で立てば笑顔が映ります。
AI自身がゼロから表情を作ってくれるわけではありません。
これと同様に、「ただ面白いお話を作って」という大雑把な指示を出せば、AIは、よくあるような無難な回答しか返ってきません。
「誰に向けて、どんな風に面白いのか」という作者の意図をはっきりと伝えることで、深みのある作品を形にしてくれるのです。
つまり、AIは指示に対して忠実に考えることしかしないからです。
「自発的なテーマ」は、人間の心からしか生まれない
AIの決定的な特徴は、「今日はこんなテーマで絵本を作りましょう!」と、自発的に提案してくることは絶対にないという点です。
AIが自分で考えているように見えても、その出発点は常に「人間の思いに対する反応」に過ぎないのです。
したがって、AIから引き出せる回答の質は、そのまま「私たちの問いかけの質」を映し出してい流ということになります。
問いかけ方ひとつで、私たちが知らない驚くようなアイデアを出してくれる場合がありますし、的はずれな答えしか出せない場合があります。
それは全て、AIの使い方次第ということになります。
そう考えると、AIを使った絵本作りとは、AIとの対話を通して「自分自身の本当の気持ちと深く向き合う作業」なのだと私は思います。
あなたの「内面」が、作品を豊かにする
「誰にこの物語を届けたいのか」 「どんな願いやメッセージを込めたいのか」
この核心となる確かな思いが作者にあって、AIはその思いを鮮明な形として映し出してくれることから、AIが作った文章が良くも悪くもなるのは作者次第の考え方ということになります。
AIというこの素晴らしい道具を本当の意味で使いこなすためには、自分自身の内面を深く見つめ直すことが、AIを使って絵本を作るということになるのです。
他の誰にも真似できないような作品を生み出せるのは、AIではなくあなたの感性であるということが言えます。