子どもには早く幸せな家庭を築いてほしいという、親であればそう願うのは当然のことです。
しかし最近、そのような親心につけ込むような、悪質な「結婚相手紹介サービス」の電話勧誘トラブルが急増しています。
親の最も弱い部分を容赦なくえぐるような、極めて卑劣な手口で、「子供が未婚なのは親の責任である」という言い方で脅かしてきます。
今回は、悪徳業者がどのようにお金を騙し取ろうとするのかという、具体的な手口を国民生活センターに寄せられたトラブルの事例から紹介します。
親の心理を操る、恐るべきマインドコントロール
罠は、ある日突然の電話から始まります。
「40代のお子さんの将来、ご心配ではありませんか」
どこで調べたのか、子どもが未婚であるという個人情報を握った上で、突然連絡をしてくるのです。
最初は世間話なども交えながら、とても丁寧で親身な態度で接してきて、こちらがつい気を許して、親としての子供に対する不安や心配を話すと、業者は静かにゆっくりとした口調で決定的なことを言ってきます。
「今までご縁がなかったのは、親のサポートが足りなかったからではないですか」
今、あなたが動かなければ、お子さんは一生独身のままですよと、言葉巧みに親の責任を激しく刺激してくるのです。
「私が悪かったのかな」と、相手の言葉で罪悪感を感じた親は、「せめて自分がお金を出して、なんとかしてあげなければ」と思い込まされて、次第に冷静な判断力を奪われていきます。
そして最終的には、肝心の子ども本人には一切相談しないで、業者の言われるままに数十万円もの高額な入会金を振り込んで会員になってしまうのです。
悪質な手口の全貌
親としてできることとして、なけなしの入会金と月々の会費を支払ってしまった後、一体どうなるかというと悲劇はここから始まります。
入会前は「来年までには必ず結婚させます」と熱心に語っていたにもかかわらず、入金が確認された途端、業者の態度は急変します。
待てど暮らせど、誰一人としてお相手を紹介するそぶりを見せません。
親がしびれを切らして問い合わせても、「今、条件に合う人を一生懸命探しているところです」と都合の良い言い訳を繰り返し、ひたすら時間を引き延ばして放置するのです。
一向に紹介されない実態に気づき「解約したい」と申し出ると、業者は本性を現します。
「途中でやめるなら、高額な解約料がかかる」と法外な金額を請求してくるのです。
さらに悪質なケースでは、突然外国人を紹介し、強引に『国際結婚』へと誘導していきます。
断ろうとすると、すでに相手との結婚の話が進んでいるため、違約金が発生するとここでもお金を要求してきます。
驚いて支払いを拒否すると、業者はそれを口実に紹介を完全にストップして、そのまま一切の連絡を絶ち、音信不通になってしまいます。
つまり彼らの本当の目的は、最初からお子さんを結婚させることなどではなく、親の愛情という弱みにつけ込んで、入会金や登録料、そして解約時のペナルティなどといった、あらゆる名目を並べ立ててお金を騙し取ろうとすることだったのです。
詐欺と言い切れない、計算し尽くされたグレーゾーン
なぜ、このような悪質な業者が野放しになっているのかというと、彼らが、警察がすぐには介入できない法律のグレーゾーンを意図的に狙っているからです。
もし、最初からお金を騙し取る目的であれば、明確な「詐欺罪」として警察が逮捕できますが、彼らは巧妙で、一応お相手を探すフリをしたり、体裁の整った立派な入会書類を送ってきたりします。
その書類には、入会金や登録料、さらには「中途解約には違約金が発生する」といった細かい取り決めがあり、いかにも真っ当な手続きのように明記されているのです。
このような形ばかりの書面があるせいで、警察に相談しても、これは当事者間の契約トラブルと判断され、民事事件として警察がすぐには動けないという事態に陥ってしまいます。
このようなことから、悪質業者のやり口は実に計算されていて、彼らはこうした法律の抜け穴を完全に熟知した上で、子を想う親の純粋な愛情を冷酷に食い物にしているのです。
悪徳業者の被害を防ぐ鉄則
このような卑劣な事件に巻き込まれないために、私たち親世代はどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
ここで、悪徳業者の巧妙な罠を打ち破るための鉄則を整理してみましょう。
まず、「お子さんが結婚できないのは親御さんの責任ですよ」と言われても、決して罪悪感を持つ必要はありません。
これは、あなたを精神的に追い詰めるためのマニュアル通りの脅し文句に過ぎないからです。
「結構です」と一言できっぱり断り、遠慮なく電話をガチャンと切ってください。
相手の甘い言葉や脅しに耳を貸す必要は一切ありません。
また、業者は「お子さんには内緒で進めましょう」と、それが親の愛情であるかのように押し付けてきますが、彼らの本当の狙いは、冷静な判断ができる第三者の介入を防ぐためだからです。
お子さんのことが本当に心配なら、親の独断で動くのではなく、まずはお子さん本人と今後のことについてじっくり話し合うことが、何よりも大事なことではないでしょうか。

すでにお金を払ってしまって解約させてもらえなかったり、しつこい電話がなん度もある時は、決して一人で悩まないで、国民生活センター局番なしの「188(消費者ホットライン)」へ、相談してみてください。
国民生活センターへの相談は、あなた自身やご家族を救うだけでなく、悪徳業者を行政指導に追い込み、これ以上の被害者を防ぐためのものとなります。
優良な結婚相談所を見分けるポイント
誤解のないようにお伝えしておかなければならないのは、すべての結婚相手紹介サービスが悪質というわけでは決してありません。
世の中の大半は、ご家族の幸せを真剣に考え、法律のルールを厳守して運営されている善良な業者さんです。
ただ、中にはここに書いたような悪質な業者もいるということで、我々がしっかりした知識で判断することが大事であるということを知っておいてほしいのです。
優良な結婚相談所の見分け方としては、以下のようなポイントに気をつけることです。
- 「クーリング・オフ」や「途中解約の違約金(法律の上限内)」について、契約前にしっかり説明してくれる。
- 「親の責任」などと不安をあお流ようなことは言わず、お子さん本人の意思を第一に尊重してくれる。
- 契約書などの重要な書面を、その場で必ず交付してしっかりと説明してくれる。
- 「マル適マーク(結婚相手紹介サービス業認証制度)」などの公的な第三者機関からの認証を取得している。
これらのようなことを確認することをしてください。
さらにネットなどで調べて、評判を確認するようにしてください。
真面目な業者であれば、不安をあおるようなことや、電話でのしつこい勧誘などで契約を急がせるようなことは絶対にしません。
親として電話などでの勧誘の口車に乗らないように、しっかり冷静に判断することが、子供の幸せを守ることになるのです。