
毎週日曜日放送の「安住紳一郎の日曜天国」を、私は楽しみに聴いています。
この番組では、リスナーから届いたハガキやメール、FAXをテーマに沿って紹介します。
その中で、新宿の住所から届く常連の投稿者がいました。
文章は淡々としているのに、なぜか印象に残ります。
インドネシアでは、蓋のないマンホールに落ちて骨折した話とか、上野のパンダに名前をつけようということになり、付けた名前が「江戸やんちゃやろう」と、真面目なのか冗談なのかわからない状態です。
お父さんの遺言
ある日の投稿は、お父さんが亡くなったという話でした。
遺言には、「骨の一部を海に撒いてほしい」というものだったそうです。
そのため投稿者は、父親の遺骨の一部を粉にしてハンドバッグに入れて持ち歩いていました。
海に行った時に、散骨しようと思って持ち歩いていたということです。
池袋のトイレで起きたこと
ところが、そのことをすっかり忘れたまま、池袋の駅のトイレに入ります。
バッグの中を見ると、粉のようなものが散らばっていたために、「なんだ、この白い砂は」と、トイレでバックの中身を払っていたところ、父親の骨だったと後で気がついたということです。
気づいたときにはトイレの床に落ちて散らばってしまっていたということで、もうどうすることもできなかったというお話です。
「お父さんの遺骨を、池袋のトイレに散骨した話」として、面白エピソードとして印象に残っています。
その後も続くおもしろ投稿
この投稿者からは、その後も、思わず笑ってしまう話が何度も送られてきます。
あるときは、旅行に出かけた日の話です。
出発時間が迫り、慌ててスーツケースを持って家から空港へ向かったそうです。
チェックインの時に、スーツケースを開けて違和感を覚えます。
スーツケースの中には、何も入っていなかったからです。
考えてみると、家にはスーツケースが二つあり、一つは旅行のために荷物を詰めたもの、一つは空のままのものが置いてあり、出かける時に中身のない方を持ってきてしまったということです。
本人は大真面目な出来事として投稿しているのですが、なんだかとても間が抜けていて、憎めないようなお方のようです。
その後も、この人からの投稿は変わらず続き、思わず笑ってしまう話ばかりでした。
「散骨イラストレーター」
やがて、安住紳一郎さんは、この投稿者のことを「散骨イラストレーター」と呼ぶようになります。
理由は、送られてくるFAXに、いつもとてもきれいなイラストが描かれていたからです。
文章だけでなく、絵まで上手い人ということで、絵の上手い器用なリスナーと誰もが思っていたことから付けたということです。
そのような投稿が何年も続いた後、ある日、FAXに印字された電話番号の表記に目が留まります。
そこには、「大塚アトリエ」という文字があったということです。
気になって調べてみると、その名前は日本を代表する水彩画家として知られている、永山裕子さんという有名な画家だということが分かります。
永山裕子とは
永山裕子(ながやま ゆうこ)さんは、日本を代表する水彩画家で、圧倒的な描写力と、水彩ならではの「滲(にじ)み」や「ぼかし」を活かした色彩豊かな作風で知られ、その独自の画法は国内外で非常に高い人気を誇っているということです。
1963年、東京都生まれで、 東京藝術大学大学院を卒業後、現在は嵯峨美術大学客員教授、武蔵野美術大学 客員教授として教える傍ら、独特な水彩画を発表しています。
印象は、変わらなかった
正体がわかっても、あの投稿の印象は変わらなかったと、安住紳一郎は言っています。
有名かどうかより、いちリスナーとして届いていた投稿内容は、その人の言葉の人柄として変わらなかったからです。
番組での永山裕子は、ちょっとドジで間抜けな「散骨イラストレーター」そのままということで続きます。
このエピソードなどは、YouTubeやポッドキャストの音声アプリから聴くことができますので、興味のある人は、「安住紳一郎、永山裕子」で検索してみてください。
作品紹介
彼女の透明感な作品は、若い女性に人気があるということで、展覧会を開くと長蛇の列ができるということです。
今回のこの本も、作品集としていろいろな絵が紹介されているのですが、作者本人が絵に向き合う姿勢としての考え方も書かれています。
画家を目指す人の心構えとか、何を考えて表現するかなど芸術家としての考え方は、その人の人生における生き方に通じるものがあるみたいです。
いつか展覧会があった時には、描かれた作品の実物を見てみたいという衝動にかられる本です。
ぜひ一度、本を手に取って水彩画の素晴らしさを感じ取ってもらいたいと思います。