「モフ子の一期一会」

人との出会いや、今日という時間は二度と同じ形ではやってきません。

だからこそ「一期一会」の気持ちで、思いやりをもって大切にしたいものです。

今日のお話は、モフ子が出会いの一瞬に心を込め、仲間たちと共に生きる喜びを見つけた物語です。

モフ子は、どんなときでも笑顔をわすれない、みんなの人気ものです。


森の動物たちはモフ子を囲んで、いつもみんな仲良く遊んでいます。

「みんな友だちだね」

モフ子が言うと、みんな大きな声で「うん」と返事します。


ある日、同じクラスの小鳥がモフ子たちに言いました。

「僕、もうすぐ、外国へ行かなくちゃならないんだ」

リスもキツネも目を丸くしておどろきます。

みんな胸がぎゅっとして、言葉になりません。


小鳥は、家族で外国に渡らなければならない事情がありました。

「せっかく友だちになれたのに……」

みんなは寂しがりましたが、仕方ないことはわかっています。

その日から、みんなの時間は特別なものになり、小鳥の歌に耳をかたむけたり、いっしょに走り回ったりして、この一日をわすれないために仲良く遊び回りました。


とうとう小鳥の旅立ちの日がやってきました。

森の仲間たちはみんな集まり、小鳥を見送ります。

涙をこらえてうつむくリス。

目をぬぐうキツネ。

モフ子も胸がいっぱいで、涙が出そうでした。


モフ子はぐっと涙をこらえて、そしていつものように、にっこりと笑います。

「お別れはたしかにさみしいけど、またいつか会える日がきっとあるよ。だから笑顔で送りだそう!」

仲間たちの目に光が戻り、少しずつ笑顔がひろがっていきました。


小鳥は羽を大きくひろげ、森をひとまわりして高く高く舞いあがり、青空のむこうへ飛んでいきました。

モフ子たちも笑顔で大きく手をふります。

「さようなら、またいつか会おうね」


モフ子は空を見あげ、胸に手をあててつぶやきます。

「今日という出会いは、もう二度とない。だからこそ、この時を大事にしよう」


モフ子は気づきました。

毎日はいい日であって、すべては出会いの一度きりだということに。

楽しい日も、くやしい日も、悲しい日も、そのぜんぶが、大切なたからものだからです。

そう胸にきざんで、モフ子はいつものように、元気いっぱいに森をかけ回っていきました。


あとがき

「一期一会」は、特別なことじゃなくても、日々の小さな出会いや出来事の中に生きています。
相手を思いやり、その瞬間を大切にすると、不思議と自分の心も温かく満たされるのです。
そんな気づきが、あなたの毎日を少しでも やさしく、充実したもの にしてくれます。

モフ子

作者紹介  1951年3月 東京生まれ

定年退職をきっかけに、小さなうさぎ「モフ子」の物語を書き始めました。

思いやりや友情、助け合いをテーマに、森の仲間たちとともに成長していくモフ子の姿を綴っています。

疲れた心にそっと寄り添える物語を、これからも届けていけたらと思っています。

絵本『モフ子と森の仲間たち』が作られた考え方は、note記事に詳しく書かれています。