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「森にひろがる信じるこころ」

「仲間を信じるって、どういうことだろう」

「ただ仲良くすることじゃない」

「それは、ときにこわくて足がすくむようなときでも、『きみと一緒なら大丈夫』と心から思えることかもしれない」

これは、モフ子とリスとシカが教えてくれた、相手を信じる心の物語です。


森に大雨がふりつづき、川は濁流となってうなりをあげていました。

川の向こうには、小さなシカが立ちすくんでいます。

シカはこわさに足がふるえ、橋を渡れずにいたのです。

モフ子とリスが通りかかり、震えている小鹿を見つけます。


リスが口を開きました。

「モフ子、行こう。ぼくらがシカを助けなきゃ」

モフ子は首を横にふりました。

「落ちたら、死んじゃうかもしれない」

「だからと言って、このまま、シカを見捨てるわけにはいかないじゃないか」


濁流は黒くうねり、足もとをすくうように見えました。

モフ子の足は震え、胸の鼓動は早くなっていると感じます。

「こわいけど、困っているシカさんを助けなければならない」

モフ子は胸の奥に熱いものを感じましたが、足はまだすくんだままでした。


「こわいよ……早くたすけて」

小鹿は恐怖心で涙を流します。


そのとき、枝の上からフクロウの声がしました。

「モフ子、こわいのは自然なことさ。 だれだってこのような状況では足がすくむ。 でもね、何かを成し遂げるとは勇気をもって一歩を踏み出すことなんだ」

モフ子の心に、その言葉がひびきました。

「リスさん、私と一緒に橋を渡ってくれる」

リスは大きくうなずきました。


自分だけでは渡れなくてもリスさんと一緒なら勇気が出る。

一歩、また一歩。

橋がゆれ、足もとがふるえました。

モフ子の心臓は早鐘のように打ちました。

でも、リスと一緒だからモフ子は勇気を出して歩いていくことができます。


やっとの思いでシカのところにたどり着いたモフ子とリスは、シカを連れていま来た丸太の橋を引き返します。

怖がる小鹿の手を握ってモフ子とリスは、慎重に橋を渡り戻ってきました。


待っていたフクロウが言いました。

「みんな、本当によく頑張ったね」

シカは涙を流しながら、何度もモフ子とリスにお礼を言いました。

「怖かったけどリスさんが手を引いてくれて、みんなを信じたから渡ることができたの」

リスはにっこり笑って言いました。

「ぼくはシカさんを助けたいと思ったから頑張れたんだ。それに、モフ子ちゃんが一緒にいてくれたからできたんだよ」

「わたしはリスさんがいたから、一歩をふみ出すことができたわ。みんなが信じあって力を合わせたから、乗り越えられたのね」

三人の顔に、安心と喜びの笑顔がひろがりました。


モフ子は思いました。

誰かを信じて手を取り合うとき、恐怖をこえて、ほんとうの勇気が生まれるということです。

そして、仲間を助けたいと願うとき、力がわき上がるということもわかりました。

みんなが信じあったことで、森には友情と助け合うあたたかさが広がったのです。

信じあい助け合うことで、森はやさしい光につつまれ、みんなの心も明るくなりました。