
ある朝、モフ子は森の小道を歩きながら、大切な友だちのことを思い出していました。
「最近、キツネさん会ってないないけど元気かな?」

そんなことを考えているモフ子の所に、小鳥さんが飛んできました。
「モフ子ちやん、たいへん! キツネくんが動けないほど高い熱を出して寝ているの!」
「えっ…それは大変だわ! すぐに病院の先生を呼ばなければ!」

モフ子は、森の仲間たちが集めました。
しかし困ったことに、昨夜の大雨で川は水であふれて橋は流されて渡ることができません。
キツネくんの家へ行くには、土砂崩れのある森の道と川を越えて先生を連れてこなければなりません。

「このままじゃ、先生を呼びに行くことができないわ」
モフ子が困ったように言うと、
小鳥さんが、「遠くの大橋を渡れば、なんとか病院に行くことができるわ」と言いました。
「でも、大橋まで行くのに、土砂崩れのある森の道をなんとかしなければならない」
その時に、猿がいいアイディアを出しました。
「クマさんが力を出して、土砂崩れの木を退けて道を整備する」
猿は続けて言いました。
「そして僕は、高いところから、安全な道を選んで道案内をすればいい」

「みんなの力を合わせればなんとかなるわね」
「鳥さんは、先に病院に行って、ヤギ先生に事情を話して来てくれるように頼んでもらえる」
「ロバさんは、ヤギ先生を迎えに行って」
モフ子が言うのをみんなが頷きました。

クマさんは、力を生かして崖が崩れたところに、丸太で道を作ります。

小鳥はまっすぐ病院へ飛び、ヤギ先生に事情を話し、ロバさんが迎えにくることを説明します。

ロバは、昨日の雨でぬかるんだ道を、ヤギ先生を乗せて、滑らないように気をつけながら全速力で走ります。
猿は森の高い木から安全な道を探しながらロバを先導します。
それぞれの特技を活かして、友達を助けるために努力します。

キツネくんを診察したヤギ先生は、
「あなたは仲間に恵まれて、幸せですね。心配いりません。お薬を飲んで休めば元気になりますよ」
モフ子は、心から安心しました。
「キツネくん、よかったね」
大きく頷くキツネくんでした。

元気になったキツネくんを囲んで、みんなで森のご馳走を食べます。
「困ったことがあれば、仲間が力を合わせれば必ず助けられるんだね」
モフ子が言った言葉に、みんなが頷いて笑顔になりました。
森にはやさしさと感謝の笑顔が広がって、みんながあたたかな気持ちになりました。